かれこれ5年くらい、ある団体のミュージカル公演に打楽器で参加させていただいているのですが、こんどの台本には嵐の海で難破するシーンがあるということでサンダーシートを自作することにしました。
そもそもサンダーシートとは
ポケモンとは関係ありませんし、ペネロープさんは出てきません。
雷のような音を出すための楽器です。ハンガーラックのような枠にぶら下げた薄い鉄板を手で揺らすとそれっぽい音がします。日本語だと「雷おこし」になるのかな、なんだかおいしそう。
けっこう新しい楽器だと思います。なのでこれが必須になる楽曲もさほど多くはないはずです。実物は私もたった1回(それも遠目に)しか見たことがありません。でも作れそうな気がする。
材料と道具
- 薄い鉄板
- 塩ビパイプ
- パイプ継手
- パイプ用取り付け金具
- ワイヤー
- 椅子用のゴム足
- キーリング
- 接着剤
- のこぎり
- 玄能・釘・鉄筋(鉄板の穴空け用)
- あとから追加で買ったパイプカッターと継手
ハンガーラック的な枠の材料は軽い・丈夫い・安いと三拍子揃った塩ビパイプです。見た目のクールさは犠牲になったのだ。
おそらく最もハードルが高いのは、最も重要な「薄い鉄板」をどうやって調達するか、だと思います。私の場合は……まだ学生だった頃、家の大掃除でホワイトボードを捨てることになりまして、分解してみたところ、使われていた鉄板が面白い音を出すので保管しておいた、それがようやく日の目を見ることになりましたイェーイ! 貧乏性もたまには役に立つものですね!
まずは鉄板を吊るせるように
塩ビパイプから鉄板をどうやって吊るすか、けっこう悩みました。
こうなりました。
まず鉄板に穴をあけ、ワイヤーを通します。パイプ取り付け金具のうち「T時足」の2つの穴にもワイヤーを通したら、ワイヤー両端を繋げます。今回は両端がアイ加工のワイヤーですので、キーホルダーなんかに使われるキーリングを間に挟みました。
これをどうやって枠のパイプから吊るかというと、こんな感じです。
パイプを吊るための金具を逆にパイプから吊るした恰好で固定し、金具同士をボルトで接合します。
単に鉄板と枠とをワイヤーでクルッとやるだけでも吊れるし単純なのですが、そうすると組み立て時にワイヤーにパイプを通して、鉄板を吊った状態のパイプを保持しながら枠を組み立てねばならず危険です。しかしこのように金具を介して着脱可能にしたことで、枠の組み立てが完了してから鉄板を吊す作業を安全に行えます。
鉄板への穴あけは、たまたま家に先端斜めカットのD14か16のボルト用鉄筋があったので玄能でド突いたら簡単に穴が空きました。それから釘を突っ込んで適度な大きさに広がればヨシッ!
枠を組み立てよう
イメージだけで枠を組み立て始めました。用意した塩ビパイプは長さ1mを5本。
とりあえず2本はそのまま柱として使おう。それから上部に渡して鉄板を吊るすパイプとして1本、残る2本はそれぞれ500mmにカットして足とする。柱と足はT時の継手、柱と上部パイプはエルボ継手で繋げる。足の先端にはキャップと椅子用のゴム足を嵌めれば安定感も増す。
そうして出来上がったものが……何か気持ち悪い……
表側・裏側それぞれに500mmずつ伸びている足が長すぎる……!
イメージを修正し、500mmの足を全て200mmにカットして追加で買ってきたエルボを嵌め、70mmにカットしたパイプをかませてからキャップ装着。
そうそう、これや。こういうのを作りたかったんや。
そうして出来上がったものが
こちらでございます。
めちゃめちゃオーパーツのような佇まいの物ができた。鉄板は白色の面と金色の面のうち、金色の面を表とすることにしました。
ポイントは鉄板を一点のみで吊るしたことですね。2点で吊るすよりも鉄板がうねうねしやすく、面白い音がでてくる、はずです。
本当は下部にもパイプを1本渡したかったんだけども、良い継手が見つからなかったので妥協。
一方、今回作ってて、本当に道具には妥協しないほうがいいことを痛感しました。パイプカッターを持っていなかったので当初は木材用ののこぎりで塩ビパイプを切っていたのですが、夜中に作業しづらいし、そもそも鋸引きが下手すぎてパイプ断面がえらいことになってしまいました。途中でパイプカッターを買ってきて正解でした。くるくる回して切るの楽しい。
さて実際にこれを使用しての練習は来週から始まります。どんな音が出るのか、使いこなせるのか、そもそも使うシーンがちゃんとあるのか?? もし手が空いてなかったらペダルに長い棒を取り付けて引っ叩く必要があるかもね!